親知らずの抜歯

親知らずの抜歯について

親知らずの抜歯について

親知らずの抜歯は、「とても時間がかかった」「とても痛かった」という方が多くいらっしゃいます。

親知らずの抜歯が長い治療時間を伴う理由は、親知らずが歯列の一番奥にあるため大変視野が悪く、抜歯器具の使用方向も制限されるためです。下顎の場合は、まわりが硬い骨に囲まれていて、通常の浸潤麻酔という手法ではなかなか十分な麻酔効果が得られないなどの理由から、痛みを伴うケースが多くなります。

当院では、確実な麻酔効果のもと、できるだけ時間をかけずに抜歯を行います。これは、専門医として習得した技術と、今まで約2,000本の親知らずを抜歯した経験からできることです。 もちろん早ければよいというわけではなく、最小の侵襲で行うよう心がけております。

親知らずの抜歯の必要性

当院では、親知らずを無理に抜歯する必要はないと考えています。

親知らずが骨の中にもぐっている場合や、斜めに生えて前の第二大臼歯にぶつかっている場合などは、抜歯の際に周囲の骨を削るなどの大きな侵襲を加える必要があります。大きな侵襲を加えると、下唇の麻痺や開口障害といった機能障害を起こすリスクがありますので、日常生活に支障がない限り無理に抜歯をする必要はないでしょう。 

ただし、一度でも親知らずが原因で腫れたりした場合は、抜歯を検討します。内服薬によって腫れが引いたとしても、急性炎症が慢性炎症に移行しただけで、治癒したわけではありません。その後は慢性炎症と急性炎症を繰り返すことになり、なかには急性骨膜炎等の重篤な疾患に波及するケースもあるので、注意が必要です。

親知らずが痛くなった場合の応急処置

親知らずが痛くなった場合の応急処置

一番は歯科医院に早くお越しいただくことですが、すぐに行けない場合は、氷水をお口に含むなどしてお口の中を冷やしてください。炎症の熱を冷ますと消炎作用が得られます。冷たさによってお口の中がしびれるので、痛みが和らぐ効果もあります。また、 痛み止めのお薬を飲むことも有効です。

親知らずの豆知識

親知らず(専門用語で智歯と言います)とは、ちょうど成人になる頃に生え、その頃に親を亡くすことからその名がついたともいわれています。

親知らずは、定位置にうまく生えれば年をとるまで長く使えます。しかし、親知らずは斜めに生えてしまうケースが多いため、上手に磨くことが難しい歯です。十分に磨けていない歯があると、歯肉に炎症を起こしたりむし歯になったりするリスクが高くなるので、一般的に親知らずは抜いたほうがよいと考えられています。

親知らずが原因で歯肉に炎症が起きている場合や、親知らずがむし歯になっている場合は、親知らずを抜かない限り症状の改善はあり得ません。そのため、当院に親知らずの不調を訴えて来られた患者さまのほとんどは抜歯をしています。歯肉の切除やむし歯の処置によって対処できる場合はいたしますが、その数は非常に少ないのが現実です。

抜歯後の痛みや腫れについて

抜歯後の痛みや腫れについて

抜歯後に合併症の起こりやすい部位は、上よりも下、前よりも後ろです。つまり、下顎の親知らずを抜いた後は、一番合併症が起こりやすいといえます。

合併症のひとつとして痛みがあります。当院では、痛みを和らげるお薬として、抜歯後に毎食後服用する鎮痛剤のほか、頓服として鎮痛剤をお出ししています。痛みの程度は、頓服を1~2回の服用で自制可能なケースが多いです。

下顎の親知らずを抜くと、腫れが出ることがあります。大きく腫れることはまれですが、必ず腫れると思ってください。 頬の方向に強く腫れた場合は、開口障害(口が開きにくくなる)が発生します。開口障害は、開口訓練で腫れが引くとともに消退します。喉の方向に強く腫れた場合は、風邪をひいたときのように喉が痛み、食べ物が飲み込みにくくなります。ただし、これも炎症が引くとともに消退します。

厄介なのは、骨の中に強く炎症が波及したときです。下顎の親知らずの近くには下顎神経があり、炎症が下顎神経の近くに及ぶと、下唇を中心にオトガイ部に麻痺感が発生します。

麻痺は1週間ほどで消えることもありますが、半年から1年を要する場合もあります。

今まで1,000本ほどの下顎埋伏智歯を抜歯したなかで強い麻痺の症例は3例ほどで、単純に計算すると確率は0.3%です。この数字を多いと見るか少ないと見るかは考え方によります。

これらの合併症はすべて起こるわけではありません。ただし、下顎にある親知らずの抜歯は大変難しく、重篤な合併症になる場合があります。そのため、安易に抜歯をするべきではないと私は考えています。

しかし、症状が改善されない場合、抜歯を避けて通ることはできません。合併症のリスクについて十分に理解してしっかりと準備を行い、合併症が起こってもよい環境を用意してから処置を受けることをお勧めします。

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